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ISO26000について

CSRに関する国際規格(International Standard)が、ISO26000です。

ISO26000は、CSR(あるいはCを除外してSR)に関する国際ガイダンス規格です。

2010年11月1日、国際規格として正式に発行されました。

ところで、国際ガイダンス規格のガイダンスについて簡単に触れておきます。

国際規格の中でも、ISO9000シリーズやISO14001などのマネジメントシステム規格の仲間では、「Requirement(=要求事項)」規格、「Guideline(=指針)」規格、「Guidance(ガイダンス)」規格などに分けられます。

ISO9001やISO14001は、「Requirement」規格の代表で、ここに明記された要求事項に適合しているか否かを審査・判定して認証する仕組みが構築されます。次の「Guideline」規格は、「Requirement」規格を補足する目的などで発行されるもので、ISO14004などがこれにあたります。

3番目の「Guidance(ガイダンス)」規格は、上記の二つと比べると分量も多くてより詳しい具体的な内容が記載されている一方で、そこに記載されている事項すべてを順守するような性質のものではなく、自分たちに合った個所や水準から取り組むための、たとえて言えば「商品カタログ」のようなものとイメージしておくといいでしょう(カタログに掲載されているモノをすべて購入する人はいませんよね)。もちろん、自分たちに都合の良いところだけを採用してそれ以外を無視してよいという意味ではありません。ISO26000の規格作り日本労働界エキスパートの熊谷氏の言葉を借りれば『企業・組織の健康診断チェックシート』です。

CSRの国際規格、ISO26000の概要を触れておきます。この国際規格が守ろうとしている価値(あるいは取り組む課題)は7項目あります。

  1. ①組織統治
  2. ②人権
  3. ③労働慣行
  4. ④環境
  5. ⑤公正な事業慣行
  6. ⑥消費者課題
  7. ⑦コミュニティ参画及び開発

これらのうち、①組織統治(ガバナンス)については、他の6項目とは性質が異なって、目的ではなく手段にあたります。いわゆるガバナンスを確固たるものに整備・構築し、CSR組織への脱皮するための土台を築くことを求めています。

他の6項目は、現代先進国の企業が得意な分野も不得意な分野も混在しています。⑥消費者課題などは、優良な企業であれば当然に取り組んでいるものでしょう。先にふれたように、ISO26000はガイダンス規格ですから、自分たちの取り組みやすいものからスタートして構いません。

この規格は、その策定プロセスにおいて、「認証目的のために意図したものではない」(ISO/DIS26000.1適用範囲)ことが確認され明記されており、さらに、「マネジメントシステム規格ではない」とも明記されています。

しかしながら、ISO/DIS26000の「7.社会的責任を組織全体に統合するための手引」という個所には、実質的なマネジメントシステム要素が盛り込まれています。この「マネジメントシステムという言葉について少しだけ説明を加えておきます。

マネジメントシステムとは、各組織のルール体系です。企業のみならず、行政機関や公益法人など、組織であれば、必ず多くのルールが存在しています。組織とは、「共通の目的のために複数の人(時には数千人)が集まって活動する」のですから、そのためには、たくさんのルールが不可欠なのです。この場合のルールとは、明文化されているものも不文律も含まれます。

例えば、組織全体で共通のルールの例としては、勤務時間のルール、休暇のルール、給与のルール、報告のルール、業務役割分担のルール、信賞必罰のルールなどがあるでしょう。また、部門別のルールの例としては、製造装置の使い方のルール、会計監査のルール、税のルール、支払のルール、納品のルール、化学物質の使用方法のルールなどが浮かびます。

これら沢山のルールが、過不足なく勢揃いしていて、矛盾なく繋がっていて、一体化している状態を「ルール体系」と呼び、「ルール体系」を「システム」と名付けることができます。

いうまでもなく、組織は休むことなく、絶えず運営・経営されています。これを、マネジメント「Management」と呼びますが、これは「Manage」の名詞形であり、あえて日本語に翻訳すれば、「なんとかうまくやっていく(こと)」くらいにイメージしておきましょう。そのための「ルール体系」が、「マネジメントシステム(MS)」というわけです。

考えてみれば、エンドユーザたる私たち消費者は、誰もがその商品やサービスが自分に対して直接貢献してくれる便益にのみ興味を持ってしまいますね。商品やサービスを提供するために、提供元の組織(企業)がどのようなルール体系を使っているかなどには関心がありません。たとえ関心があったとしても、その組織のルール体系に関する情報を得る手段もありません。

たとえば、日立の冷蔵庫、三菱の自動車、パロマの給湯器には興味を持っても、日立製作所、三菱自動車、パロマ、それぞれの組織にあるルール体系には興味を持たないことが普通です。

しかし、良く考えてみると、製品やサービス提供を支えているのはマネジメントシステムですし、今後将来の製品やサービスが信頼できるものかどうかを今判定するには、その材料はその企業のマネジメントシステムしか存在しないということも想像できます(未来の製品を検証できませんからね)。

一方で、政策的な観点からも、法規制のようなトップダウンの単局的な統制に加えて、複雑化する現代社会に対応するためには、多極的な管理を各組織がマネジメントシステムを通じて実施していくことの重要性も想像できます。

したがって、MS規格は、基本的にその組織の「未来」を担当します。その組織が今後どのような製品を作り、そのようなサービスを提供するか、それが信頼のおけるものか否かを、今判断するための材料として使用することができます。

一方、「パフォーマンスという指標は、「成果」という意味なので、当然、その組織の「過去の結果を担当します。これまでどのような製品を作り、どのようなサービスを提供してきたか、それが信頼のおけるものだったか否か、判断する材料になります。

【コラム】

「来年、甲子園に出場できるかどうか」…これはMSの守備範囲

  1. 監督やスカウトなど人材の能力
  2. 有力選手に関する情報収集
  3. 室外・室内練習場の設備
  4. 練習試合など遠征の費用予算の確保・配分
  5. 構築された選手の基礎体力強化メニュー、技能向上練習メニュー等の水準
  6. 選手の日常生活のサポート体制

また、同じMS規格の仲間でも、ISO14001とISO9000シリーズでは、性質が異なります。前者は、継続的改善タイプ、後者は、満点維持タイプです。ISO26000はこの両者の性質を併せ持つと言えます。

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