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EMS活用「A-EMS」

EMSは役立たず?

現在のEMSは役立っていないと感じている人々が少なくありません。ISO14001の認証登録した企業であっても、不祥事が頻発するようすをみれば、外部の人間は誰でも不信感をもちます。手間や費用ばかりかかって、実用的なメリットが見いだせない状況が続けば内部の従業員は誰でも不信感をもちます。「EMSやISO14001は役立たずではないのか、内外を問わず、不信感は募る一方です。

では、本当に「ISO14001やEMSは役立たず」なのでしょうか。

役に立っていない理由

しかし、ISO14001やEMSが役立たずなのではありません。役立たずなのではなく、役立たない理由があるのです。第一に、使う側の人々が、本気でEMSを本気で役立てよう、活用しようという意志がなかったことが原因です。

さらに、EMSを使う組織側の問題として、次の事柄も原因といえるでしょう。

  1. ISO14001要求事項の全体像や用語を具体的かつ正確にイメージできていなかった。
  2. 認証登録を免罪符、ビジネスパスポートとしての価値だけで満足している。その費用を必要悪として一定の満足をしている。
  3. 現状維持を貴ぶ姿勢が災いして、日常業務そのものを変更していくこと、つまり環境保全を含む新たな業務イノベーションに進もうとしない心理が働く。
    もちろん、審査機関や制度の問題もあります。
  4. 審査機関へ直接支払う仕組み(顧客関係)と上記1~3が災いして、楽な審査や安い審査が好まれる傾向が強まった。(悪貨が良貨を駆逐する)
  5. 審査において、1996年当時の解釈上の呪縛などが悪影響して、形式的な審査に止まっている。

いかがでしょうか。思い当たるところがあるのではないでしょうか。どんなに有用な道具でも、その道具を役立てようとする意欲がなければ、表面的に着飾ることに終始して満足していれば、「役立つものも役立たない」のは当然です。

PDCAサイクルと「要否と可否」

EMSは、いわゆるPDCAサイクルが骨組みです。計画通りに実施しているかどうか検証して全体改善を繰り返すというパターンは、組織力を増強して成果を着実にあげていくために効果的であることについては、(環境問題以外では数々の成功事例などもあって)異論のないところでしょう。

有効なMSは、「PDCAサイクル」を備えている。「P=計画」「D=実施、(計画通りに実施する)」「C=検証、(計画通りに実施しているか検証する)」「A=トップレビュー&改善、(次の計画へ)」

PDCAは、目標が「どれくらいの到達点が必要か」によって設定されてこそ、有効に機能するものです。高い目標を立ててこそ機能するものであり、「PDCAを回す」のではなく、「PDCAが回る」ようになります。「これくらいならできる」という観点で目標設定されたら、「DCA」が不要となりますから、当然、機能しません。それに、「必要」な目標水準が、自分たちにすぐには「不可能」であったとしても、決して「不要」にはなってくれません。

典型的な例を挙げて説明しましょう。

「温暖化防止」のために温室効果ガス90%削減が「必要」だと認識した場合、自分たちの今の実力ですぐには「不可能」だからといって、「5%削減」などと“できる目標"(甘い目標)を設定しても、決して90%削減が「不要」になってはくれるはずもありません。できる目標であれば、“気合い"で減ることもありますから、「DCA」なしでも達成できてしまうので、EMSが不要に思えてくるという悪循環につながります。

【コラム】「英国CDP」の調査

世界の大企業100社(日本企業では、トヨタ、任天堂、三菱UFJ、NTT、NTTドコモの5社が含まれている)が立てている温室効果ガスGHG排出削減目標値の平均は、年間「1.9%」にとどまっているという調査結果があります。

IPCC第4次報告から導かれる目標の「2050年までに90年比80%削減」を実現させるには、毎年「3.9%」ずつ削減する“必要があります"。毎年「1.9%」ずつでは、80%削減に到達するのは、「2089年」になる計算です。これが「できる目標値」と「必要な目標値」の違いです。

こんな話をすると、きれいごとに聞こえるかもしれませんが、「環境」以外であれば誰もが納得します。

例えば、会社存続のために売上を3倍(200%アップ)にしなければ赤字になる(倒産する)場合、今の自分たちの力ではすぐに達成することが「不可能(無理)」だからという理由で、「20%アップ」という“できる"目標を設定したのでは、その会社は倒産してしまいます。「不可能」だからといって「不要」になってはくれないのがよくわかります。こうした厳しい条件で「必要な目標」を追求し続けていくと、従業員の力量向上や組織力の増強につながることは容易に想像がつきますね。

「アクティブEMS(A-EMS)」への道

この15年間は「第1世代EMS」の普及期と位置付けることができます。もちろん、今後はこれまでと同じであってはいけません。

各組織の本業にとって役立つEMSを、アクティブなEMS、Active-EMSということで「A-EMS」と名付けることにします。

EMSが役立たない理由は、上記のようにいくつかありますから、A-EMSへと改善するには、丁寧な手順による努力が必要です。

その技術的なヒントは、他でもないISO14001の規格要求事項の中にあります。規格要求事項の一つ一つを丁寧に理解して、自社の本業にあてはめ、トップマネジメントが直接差配してそれぞれがプロである全員が参加して高水準の目標に挑戦し続け、その結果として成果をあげて組織力を増強することで、システム改善を継続することこそが、A-EMSへの蘇生へ導く唯一の手順です。

この詳しい手順については、「A-EMS研修リスト」のページをご参照ください。

アクティブEMSのポイント

実質的に役立つA-EMSには、次のようないくつかの特性が備わっています。

1.「単発」ではなく「継続」、「余力」ではなく「本業」

2.追加ではなく浸透

3.「可否」ではなく「要否」

【コラム】要否による目標設定

大阪の歯ブラシ製造業『大平工業グループ』では、「必要な目標」の設定によって成果を上げています(http://www.dentalpro.co.jp/index.html)。

「環境方針」に“地球温暖化の防止"とトップが宣言し、「環境目的」では全社で“温室効果ガス90%削減"と設定し、「環境目標」はたとえば設計部では“ハンドル部プラスチック90%削減"を設定しています。

この高い目標に到達しようと思えば、現状の設計を根底から見直さなければなりません。現状否定をして実施計画をプロとしての全員が知恵や経験を総動員して、次のようにあの手この手を繰り出していきました。

  • ハンドルを1割に細くする?・・・・×細すぎて持てない。
  • ハンドル内を空洞にする?・・・・△強度不足で危険。
  • ハンドル内を循環材で充填する?・・・△変色などの問題。

最終的に「先端ブラシ部を交換式にする」という方法で、パッケージを含めた温室効果ガス発生量を50%以上削減することに成功した商品『猫の肉球ハブラシ』が誕生しました。

4.「隠ぺい」ではなく「公開・開示」

5.「孤立」ではなく「協働」

6.「完成・完了+維持」ではなく「継続的改善」

7.「パフォーマンス」だけでなく「マネジメントシステム」

【コラム】パフォーマンスとマネジメントシステム

「来年、甲子園に出場できるかどうか」…これはMSの守備範囲である。

次のような要素を含むマネジメントシステムの存否がカギを握る。

  • 監督やスカウトなど人材の能力
  • 有力選手に関する情報収集
  • 室外・室内練習場の設備
  • 練習試合など遠征の費用予算の確保・配分
  • 構築された選手の基礎体力強化メニュー、技能向上練習メニュー等の水準
  • 選手の日常生活のサポート体制

「今まで大丈夫でしたから、今後も大丈夫です」とは言えない。

  • 完了・終了がないから。
  • 当分は維持ステップにならないから。
  • 当分は改善継続だから。過去の結果に満足しているようなテーマではないから。
  • 「今まで駄目でしたが今後は大丈夫です」ということもまた許さなければならない。

パフォーマンスとマネジメントシステムの守備範囲「これまで:過去10年連続で、甲子園に出場している。=パフォーマンス」「今後:スカウト戦略、育成方法、スタッフ力量、待遇、練習場などインフラや資金、といった「マネジメントシステム」の存在。=マネジメントシステム」次回も甲子園に出場できる、と確信できるのはどちら?

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