CSRツール

ISO26000活用

CSR本業浸透の手順(簡易版、暫定版)

ここでは、ISO26000の内容をヒントにして、業種を問わず“本業にCSRを浸透させる”ための手順を説明します。

ISO26000(日本語版はJISZ26000・日本規格協会)はガイダンス規格なので、その記載内容をすべて満足させるということではなく、本格的にCSRマネジメントを実施するためのスタートラインと考えてください。

1. 色々な切り口で、“自分たち自身”を知りましょう。

たとえば、ISO26000は下のような視点を例示しています。(ISO26000の正確な内容については、日本規格協会『JISZ26000』を参照ください。)

  • 自分たち組織の種類、目的、活動の性質、規模、活動場所、法的枠組みの存否
  • 地域的・社会的特性、環境的特性、経済的特性の存否
  • SRに関する過去の実績(パフォーマンス)情報
  • 請負労働者を含む、自分たち組織の職員・従業員の特性
  • 自分たちが参加している業界団体
    • 当該団体の負うSRに関する活動
    • 当該団体が奨励するSRに関する規範や要求事項
  • 使命、ビジョン、価値観、行動規範
  • 自分たち組織内外のステークホルダが抱く、SRに関する懸念(関心事)
  • 自分たち組織内部の意思決定構造とその性格(ガバナンス)
  • 自分たちのバリューチェーン(自分たちの影響力の範囲)

(JISZ26000を基に筆者が修正して作成)

2. 自分たちにとっての“ステークホルダ”(利害関係者、SH)を書き出してみましょう。

ステークホルダとは、まず「自分たちを信頼(あるいは期待)している他者」と考えてみましょう。

3. 書き出したステークホルダからの“信頼”と“期待”を、具体的に細かく書き出してみましょう。

ステークホルダがどんな信頼をしているか、もう一度ていねいに分析してみましょう。そして、「信頼されたら困るような水準の信頼」があれば、これも別に特定しておきましょう。

また、「信頼」だけでなく、ステークホルダは多くの「期待」をしているはずです。こうした「ステークホルダからの期待」も調査して特定しておきます。

4. 各ステークホルダに“過大な信頼”をさせないようにしましょう。

過大な信頼は、事故や事件につながります。過大な信頼をしているステークホルダがいたら、注意を促す必要があります。

5.“信頼を裏切らない仕組み”を作りましょう。

性能・品質・納期などに関する信頼を裏切らないために、全社的な日常業務すべてについてリスク分析を行い、正常業務手順を全員が順守し、緊急事態やミスの発生を事前に予想して対応策を盛り込みます。

また、上記の「2 仕入先企業」の項に記したように他社委託している作業や資材等についても社内同等の管理を徹底させる仕組みを作る必要があります。

6.“期待”を叶えて、自分たちも飛躍(イノベーション)しましょう。

ステークホルダが困っていること、望んでいること、今はできていないが将来できるようになったらいいなと願っていることなどを、ステークホルダからの“期待”として書き出してみます。

7. 組織・従業員の強化をしましょう。

信頼を裏切らないための日常業務の継続は、緊急事態への事前対応を含めて、役割分担の下に知識やノウハウの習得が必要になります。

8. トップによるCSRに関する宣言、声明、方向性を明示しましょう。

環境マネジメントシステムにおける「環境方針」のように、CSRに関するトップ自身からの方針表明は不可欠です。

たとえば、ISO26000は下のような視点を例示しています。(ISO26000の正確な内容については、日本規格協会『JISZ26000』を参照ください。)

  • SRを組織活動にどのように反映させたいかの記述
  • SR原則や課題を含めたSRの重要な側面について具体的に盛り込む。
  • 原則と価値観を、適切な行動について述べた文章として書き表す。
  • SRを、システム、方針、作業工程、意思決定行動へ取り入れる。
  • 自分たちの組織的戦略の主要要素としてSRを盛り込む。
  • 中核主題・課題への取組の優先順位を、戦略、プロセス、スケジュールを含む管理可能な目標に転換させる。

(JISZ26000を基に筆者が修正して作成)

9. ガバナンスを正常化させる仕組みを作りましょう。

信頼を裏切らないために責任を果たすこと、期待に応えるために実力向上で挑戦し続けること、これらに関する「判断・決定・実行」の仕組み(つまりガバナンス)について、自分たちが認識しましょう。

たとえば、ガバナンス不全を回避する手順として、ISO26000は下のような手順を例示しています。(ISO26000の正確な内容については、日本規格協会『JISZ26000』を参照ください。)

  • CSRに取り組むための「マネジメントシステム」を適用する。
  • ISO26000の「SR原則」及び「中核主題・課題」が日常業務に反映されていることを確認する。
  • 目的を実践するための「具体的な短期目標」を設定する。
  • 目標達成に必要なリソース(資源)を特定し、振り分けていく。
  • 運営手法を適宜レビューし、適切に変更するための部門やグループを設ける。(個人的にはお勧めできませんが…)
  • 日常業務活動を実行する際には、SRを考慮に入れる。
  • 購買、投資の慣行に、SRを考慮に入れる。
  • 人事管理やその他の組織機能に、SRの問題を組み込む。

(JISZ26000を基に筆者が修正して作成)

10. コミュニケーションの仕組みを、ツールとして構築しましょう。

内部的には、組織として一体化するために、良質かつ継続的なコミュニケーション(システム=仕組み)が不可欠です。日本的な“暗黙の了解”や“阿吽の呼吸”は、高度情報化社会における組織活動の健全なドライブにはとても危険です。

また、外部的には、外部ステークホルダとの情報共有による価値創出や、より強固な関係性を構築することによる健全な事業継続に至る極めて重要かつ有効なツールとして、コミュニケーション・システムは機能します。

情報開示は“避けたいこと”として誤解され、社外秘や隠ぺいが定常状態かのように認識されてきたのが20世紀型組織の典型でした。

コミュニケーション・システムは、各企業・各組織の文化や慣習に適した仕組みをそれぞれに構築する必要があります。ISO26000(JISZ26000)の「7.5 社会的責任に関するコミュニケーション」には、詳細なガイダンス情報が記載されています。ガイダンス規格ならではの充実した内容で、これらを参考にして、それぞれに適したシステムを構築するとよいでしょう。

とりわけ、ステークホルダとの対話(対等な会話)を実施する仕組みを自分たちの側から積極的に構築していく姿勢が肝要です。

11. CSR成果の評価と是正・予防の仕組みを作りましょう。

ステークホルダからの信頼と期待を直視して、自らのその責任を果たし(万一、果たせないときは責任を取り)、期待に応えるために挑戦を繰り返すことを含めて、ステークホルダとの対話を定常化させることで、自己評価の基盤とすることができます。

もちろん日常的な業務点検(モニタリング)が、個別の信頼・期待に関する成果・結果を確認するために必要です。

こうした確認・点検によって、その事項が信頼に関すること(順守事項)であろうと期待に関すること(目的目標)であろうと、“好ましい状態”か“好ましくない状態”かの見極めをすることができます。最も悪い状態とは、こうした見極めを実施していない状態です。

次に、“好ましくない状態”を認識した時に、即座に対応できる仕組みになっていることが大切です。

たとえば、仮に何らかの信頼を裏切ってしまった場合、それによる悪影響を緩和し、真の発生原因を解明し、その原因を除去することで、同じ原因では二度と発生しない状態(再発防止)へとバージョンアップする仕組みを、事前に構築しておきます。

また、特定のステークホルダとの間で、信頼に関する見解の相違が生じたときには、先方との対話によってアカウンタビリティ(相手が納得するに相当な説明責任)を果たしていく仕組みを、事前に備えておきます。

さらに、ステークホルダの期待に挑戦する目標に関して、成果が出ない、あるいは悪化しているような場合には、何らかのテコ入れが必要になります。

12. システム改善を継続させる仕組みとしましょう。

前項の日常点検とは異なり、CSRマネジメントシステム(ルール体系)そのものの妥当性、有効性、適切性を、責任ある立場のメンバーが主体となって、よりよいものへと常に改善を重ねていくための仕組みを構築しておきます。

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